ビューティフル・ライフ
ビューティフル・ライフ

『イン・ザ・プール』

(著)奥田英朗


友達に薦められて読み始めました。これは面白いっ!と久々に感じさせる小説でした。主人公の精神科医伊良部一郎は、色白でデブで注射フェチでマザコン。とんでもない変人なのですが、彼の性格は子供そのもの。子供というのは、純真と言えば純真なのですが、同時に残酷で、わがままで、しかも、結構するどくて、まさに子供そのものなんですね。現代の過保護に育てられた子供のいい面も悪い面もまさに体現した大人(しかも結構いい年齢の)なのです。しかし、それがまた彼のところに訪れる患者たちを、辟易させながらもなぜかひきつける理由なんでしょうね。

多くの患者は伊良部一郎の治療によって良くなっているようには思えません。彼の子供のような性格、思ったことをそのまま口に出し言うこと、彼の行動を見て、自然と自分の問題点に気づいていくことが多いです。逆の言い方をすれば、子供のようになれない大人たちがむしろ現代という息苦しい社会の中で、心の病気にかかっているのでしょうね。

そして、癒されるのは何も患者ばかりではありません。この小説を読む読者もまた彼に癒される現代社会人なのです。

目次
イン・ザ・プール
勃ちっ放し
コンパニオン
フレンズ
いてもたっても

内容(「BOOK」データベースより)
「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
奥田 英朗 1959(昭和34)年、岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て、作家に。2002年に『邪魔』で第4回大薮春彦賞受賞。2004年に『空中ブランコ』で第131回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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